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私はHAコーティング、ツーピースインプラント、1回法です。・・・難しいインプラントの話を解説
今回は、インプラントの専門的な話を簡単に解説してみます。少し前に、東京医科歯科大学で「私はHAコーティング1ピースインプラント-枡渕孝雄の35年予後-」というセミナーを受けてきました。ブログのタイトルはそれをもじったモノです。セミナー自体は、とても臨床において参考になるお話でしたが、それを皆様にお話するには、話が専門的すぎるので、当院でのインプラント経験を交えてセミナーでの話をわかりやすく話してみようかと思います。
まず、HAコーティングとは、インプラントそのものを製造する時の手法のこと。インプラント体にHAすなわちハイドロキシアパタイト粉末(歯を構成する成分)を12000℃、マッハ1~2の超高速で焼き付ける表面処置を施す。なぜ、そんなことをするのか?それは、インプラントが顎の骨に入ってから、ハイドロキシアパタイトがインプラントに塗ってある部分に新しい骨が作られやすいからです。
実は、私もHAコーティングがないインプラントを使ったこともありますが、経験的ではありますが、HAコーティングがしてあるインプラントは、難しい症例でも成功しやすいという感覚を持っています。ただし、「使い始めて3~7年した後に感染しやすい」という否定的な意見もあります。だから、当院では、インプラント患者さんこそ、メンテナンスを大切にしています。
次に、ツーピース1回法とは。
インプラントの種類には、インプラントと人工歯を連結させる土台が一体化しているか分かれているかで、ワンピースとツーピースに分かれています。ツーピースとは、インプラント体と土台が分かれているタイプで、当院はツーピースです。インプラントは、平均10年以上長きに渡って毎日3回以上使われるものであって、その過程では様々なことが起こりえます。ツーピースタイプは上部構造すなわち人工の歯が欠けたなどのトラブルには、対応しやすいという利点があります。また、人工の歯だけを外して洗うといったことも可能です。ただ、ネジがゆるむなどのトラブルもある。
1回法、2回法とはインプラント手術の回数のこと。インプラント体を入れた後、一端インプラント体の頭を出すか、歯茎の中に隠すかの違いで1回か2回に分かれます。手術の回数は少ない方が、手術される方は負担も少なく、安くていいと思われますが、その分感染のリスクがあります。当院は、昔は2回法でしたが、今は1回法です。何回も症例を経て、「1回でもやっていける」と思っています。ただ、他の医院に比べて、経過観察する回数は多いかもしれません。
長くなりました。
インプラントの説明は本当に複雑で、手術を希望される患者様も全部を聞きたい方から「もう、まな板の上の鯉だからお任せします」という方まで。求められる説明も様々です。
できる限り、正しい知識を理解して頂き、納得して治療に取りくんで頂けるよう精進していきます。